厚生労働委員会で質問に立ちました

国会は6月22日で閉会となりましたが、厚生労働委員会での「社会保障及び労働問題等に関する調査」について継続審査となり、本日行われました。
(継続審査については下記参考)
「社会保障及び労働問題等に関する調査」に関し、私は、自由民主党を代表し、質問を行いました。

DSC_0309HP用

6月16日に、「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」で「制度の見直しについての報告書(案)」が出されたということで、
特別養護老人ホームの理事長にお話を伺いました。
確かに、報告書(案)自体は内部留保のことのみならず様々なことが書かれているんですが、
マスコミ報道では、「内部留保」のところが注目、強調され過ぎているように思います。
5月30日の財政制度等審議会の報告書でも、
「特別養護老人ホームには内部留保が沢山あるから、介護報酬を下げるべし」と書かれています。

来春、介護報酬の改定が予定されており、その時に、老人ホームの報酬を下げる材料として、
社会福祉法人制度の見直しが扱われているような気がしました。
特別養護老人ホームはいわば地域の高齢者介護の最後の砦としての役割を担っており、その重要性は言うまでもないと思っています。
そこでいくつか質問を致しました。

DSC_0293HP用

財政審の「財政健全化に向けた基本的な考え方」には、「特別養護老人ホームなどを経営する社会福祉法人に巨額の内部留保の存在」と書かれています。
「巨額の内部留保」と言われると、素人としては、現金が沢山たまっているような気になってしまいますが、必ずしも、現金や預金が溜まっているとは限りません。

「内部留保の定義」としては、純資産の部のうち、「基本金」や「国庫補助金等特別積立金」を除いた「その他の積立金」や
「次期繰り越し活動収支差額」の合計額としているようです。

簡単にいえば、貸借対照表(バランスシート)の右側には、資金の出所、
つまり、最初に設立者が寄付した基本金がいくらで、国や自治体からの補助金がいくらで、金融機関からの借入金がいくらでと書かれます。
左側に、そのお金が、老人ホームの建物なったとか、内部のベッドになっているとか、銀行に預けてあるとかという記載になります。

DSC_0308

社会福祉法人が2つ目の老人ホームを建てたり、新たに地域のふれあいデイの施設をつくったりと、
資金を有効に使用したとしても、会計上、「内部留保」とされたままです。
また、老人ホームが古くなったので、建て替えのために貯めた資金も「内部留保」と言われることも同じです。
いわば、無駄に現金がたまった印象が残ってしまいます。

別段、金庫にお金を貯めこんでいる訳でもないはずです。
そもそも厚労省の出している数字にも大きな違いがあるんです。
発生源内部留保3.1億に対し、実在内部留保1.6億と倍の違いがあります。
にもかかわらず、内部留保という言葉を使うのは、明らかなミスリードではないでしょうか。

この点について、厚生労働省 社会・援護局 岡田 太造 局長の答弁を求めました。

答弁 政府参考人 
(厚生労働省 社会・援護局 岡田 太造 局長)

DSC_0300HP用

 
今ほども申し上げた厚労省の出している数字、発生源内部留保3.1億に対し、実在内部留保1.6億と倍の違いがあります。
これを理由に 来年に予定される介護報酬を引き下げるというのは大きな問題です。

社会福祉法人の特性からして、非営利法人であることから配当(利益処分)が認められておらず、
事業を継続している期間が長くなれば、当然、「内部留保」と称される部分が大きくなります。
つまり、できたばかりの特別養護老人ホームと、できてから数十年の歴史を誇る法人とを比較すれば、
内部留保の状況は当然、異なってくるのではないかと思います。

それぞれの社会福祉法人における、いわゆる内部留保には、バラツキがあります。
にもかかわらず、その平均値が高いという理由で、一律に介護報酬の引き下げをすると、内部留保の少ない施設は経営できなくなります。
また、内部留保が多くても、その社会福祉法人が2軒目の施設を設立していて、実際には現金が少ないところも破綻する危険があります。
つまり、いわゆるこの内部留保は、必ずしも経営実態を反映していません。
内部留保を使って、介護報酬を議論すること自体に無理があると思います。

ただ、実際に使う予定のないお金を貯めている社会福祉法人があるとすれば、
積極的に新規事業を開始するなり、利用者サービスに還元するなりということは大いに賛成です。

「巨額の内部留保」などと宣伝して、介護報酬の引き下げにつなげようとすることは、理解ができません。
大臣に、次回の改定では、社会福祉法人の内部留保を理由にした介護報酬の引き下げを行わないとお約束いただきたい。
安易に内部留保にだけ着目せず、法人の経営全般をみて介護報酬について判断していただくことを強く大臣にお願いしました。

答弁
(田村憲久 厚生労働大臣)

DSC_0307HP用

少子高齢化による人口減少社会への突入を前に、労働力人口を維持していくためには、
我が国最大の潜在力である女性の力を最大限に発揮して、「女性が輝く社会」を実現することが重要だと考えます。
また、少子化危機ともいうべき現状を突破していくためにも、
女性が子どもを産み育てやすい環境の整備を進めていかなければなりません。

このため、保育について「待機児童解消加速化プラン」を展開し、
平成25年度、26年度の2年間で約20万人分、平成29年度末までに約40万人分の保育の受け皿を新たに確保して、
「待機児童ゼロ」を実現させる取組みを進めているところであります。

しかし、「女性が輝く社会」を実現するためには、保育所の「待機児童解消加速化プラン」だけでは不十分です。
子どもが小学校入学後に女性が仕事を辞めざるを得ない、いわゆる「小1の壁」を解消しなければなりません。

政府は、放課後児童クラブについて、約30万人分の受け皿を確保していくとのことですが、
小学生の総合的な放課後対策を充実していくため、
今後、どのように取り組みをされていくのか、赤石清美政務官に 意気込みをお伺いしました。
DSC_0301HP用

赤石清美政務官
DSC_0312HP用

以上で時間となり質問を終えました。

===≪継続審査について≫===
閉会中審査とは、国会の閉会中に委員会で議案の審査を行うことです。
常任委員会および特別委員会は、国会の閉会中であっても、各議院の議決によって付託された議案について審査することができます(国会法第47条)。

国会は会期の終了と同時に閉会しますが、閉会中審査によって、閉会中に会議を開いたり、委員を各地に派遣したりと、審査または調査を行うことが可能となります。
法律の成立までに至らない議案について、開会中と同様に質疑応答などの委員会活動ができます。

【会期独立の原則・会期不継続の原則】

 憲法は、国会について、一定の期間だけ活動能力を有する会期制を前提としているものと解されています(憲法第52~54条)。
すなわち、国会の活動は会期中に限られ(国会法第47条第1項)、各会期は独立して活動するのが原則となります。
これを「会期独立の原則」といいます。

会期と会期との間に意思の継続性は認められず、次の国会(以下「後会」という。)は前の国会(以下「前会」という。)の意思に拘束されません。
そのため、会期中に議決されなかった案件は、後会に継続しないとされています(国会法第68条)。
これを「会期不継続の原則」といいます。

【継続審査とは】

 「会期不継続の原則」の例外として、委員会は、各議院の議決により特に付託された案件については閉会中も審査することができ(国会法第47条第2項)、閉会中審査した議案及び懲罰事犯の件(以下「議案等」という。)は後会に継続することとされています(国会法第68条ただし書)。このように、閉会中に審査することを継続審査※といいます。

この継続審査の対象には、議案等に限らず国政調査事件も含まれますが、このうち、後会に継続するのは、議案等だけです(国会法第68条ただし書)。
ただし、議案であっても、予算については、衆議院の先議権(憲法第60条)との関係から、参議院では継続審査に付することはできないと解されています。

【継続審査の手続】

 閉会中も議案等の審査又は調査を継続しようとするときは、委員会が理由を付して文書で議長に要求しなければならないとされています(参議院規則第53条)。ただし、衆議院では、委員会からの要求がない場合においても、本会議の議決で議案等を閉会中審査に付することがあります。
 閉会中に委員会の審査が終わったときは、委員長から審査報告書を議長に提出し(参議院規則第72条)、議長は後会で本会議に付します。また、審査を終わらなかったときでも、その旨の報告書を委員長から議長に提出することとされています(参議院規則第72条の3)。参議院では議案につき、閉会中に委員会審査を終えた例がありますが、衆議院にはその例がありません。

【後会継続議案等の取扱い】

 議案等が後会に継続した場合、衆議院と参議院で、その取扱いは異なっています。すなわち、衆議院では、前会における一切の委員会の手続等は継続せず、継続するのはあくまで議案等のみであると解しているので、後会の始めに改めて議長が適当な委員会に付託します。
 一方、参議院では、前会及び閉会中における一切の審査手続は当該案件とは不可分のものであり、これらが一体のものとして後会に継続すると解しているので、何らの手続きを経ずに委員会において引き続き審査することになります。
 なお、継続審査は、衆議院議員の総選挙が行われる場合には、衆参両院ともに行わないのが例です。また、参議院議員の通常選挙が行われる場合には、参議院においては継続審査を行わないのが例です。これは、選挙によって、国会又はその院の構成が変わることを理由としています。通常選挙の場合は半数改選ですから、継続性はあると言えなくもありませんが、やはり、院の構成が変わると解釈されています。

 ※衆議院では「閉会中審査」、参議院では「継続審査」という呼称を使用しています。